歯内療法とは
歯内療法は一般的に根管治療、神経の治療、もしくは根っこの治療、根っこの膿の治療などと言われており、歯の内部にある歯髄(歯の神経)が病気になった場合に行う治療の一種です。
また、歯内療法の大きな目的は除痛(痛みを取り除く事)と根尖性歯周炎の治療と予防です。
その治療は、歯の状況に応じて治療の方法が異なり、以下のように分けられます。
- 生活歯髄療法:出来る限り神経の一部を温存する治療方法
- 抜髄治療:歯髄(歯の神経)を除去し、 を詰める治療方法
- 感染根管治療:感染している歯髄を除去し薬を詰める治療や、過去に受けた根管治療のやり直し
- 外科的歯内療法::根管治療では対処できない場合の治療方法
日本でも多くの歯内療法が行われておりますが、治療を行なった歯の10本に6本の割合で何らかの原因で再治療 となっているとの報告があります。
とても残念な事ですが、世界水準と比べると非常に低い水準となっており、
医療全てにおいて100%治癒する治療方法は存在しません。
それは治療方法の限界や個々の患者さんの治癒力に限 界があるからです。
歯内療法の重要性
歯髄(歯の神経)がムシ歯や外傷によって細菌の感染したのに治療をせず放置すると、歯の傷みが進み歯肉が 腫れたりし、時には歯がグラグラしてくることもあります。
一生涯自分の歯で過ごすために、安易に歯を抜くのではなく、歯を保存する治療が必要となります。
そのために、神経を可能な限り保存すること。
それが不可能な場合は歯を支える土台となる根(根管)の処置。
つまり歯内療法治療がとても重要となります。
根の治療をきちんとやらずに歯の被せ物治療を行うということは、例えるなら、地盤の悪い土地で基礎をしっかり固めずに家を建てるようなものと言えるでしょう。
歯内療法の難しさ
根管治療をした歯が、何となく不快感や痛みが続いていたり、数年後痛くなったりしたことはありませんか?
しっかり治療したはずなのに何故このようなことが起こるのでしょう?
上の写真は、歯髄を特殊なインクで染めだしたものです。
これを見れもわかるように根管の中は単純な1本の通路でなく、途中で何本にも枝分かれしていたり、細くなったり太くなったり曲がっていたり、網目状に なっていたりなど、非常に複雑な構造をしています。
このことからも、細菌を完全に取り除くことの難しさを理解していただけると思います。また、根管はこのように非常に複雑で直径わずか1ミリほどの大きさのため、通常の治療ではほぼ手探りの治療ですが、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使用することにより根管内を可視化することができます。
このような理由からも、根管治療の難しさをご理解いただけますでしょうか?
根管治療は日常的に行われている治療ですが、実は専門性の高い治療なのです。
そのため、欧米では一般医も根管治療を行いますが、多くのケースは専門医に委ねられております。
当院での自費の歯内療法
1診査診断
問診後、いくつかの検査と数枚のレントゲン撮影(場合によっては歯科用CTを 撮影)を行い、痛みや病気の原因となっている歯を正確に診断します。
2説明
診査結果と治療方法について説明します。治療方法は最終的に患者様に選択していただきます。
3治療
*ラバーダムを必ず装着し治療を行います。歯の状態によっては、ラバーダムが装着できるように隔壁という壁を作る前処置を行います。科学的根拠に基づいた治療方法と治療材料を使用し、治療時間は症状に応じて60~120分を1~4回ほどかかります。 *ラバーダム装着は米国歯内療法学会にて義務ずけられております。
4経過観察
治療後3ヶ月~1年、定期的に予後のチェックを行います。
治療の対象について
- 神経に達するような深い、大きなムシ歯
- 過去に根管治療を受けたが、腫れや痛みがある歯
- 転んだ、ぶつけた、折れたなどの外傷
- 神経をなるべく残した治療を受けたい
- 根管治療を受けているが、症状が消えない、治療が終わらない
- なるべく歯を抜かずに残したい
このようなことでお悩みの方は一度、ご相談ください